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印章豆知識

★歴史  ★現代の判子の役割  ★個人印の種類  ★法人印の種類

古代ギリシャ

から現代日本まで「はんこ」の歴史は古く五千年の歴史があります。
中近東のメソポタミアのシュメール人が発明した財宝封印用の円筒印章に始まり、以来「判子」は東漸(とうぜん)、西漸(せいぜん)を繰り返しつつ、ユーラシア全域に広まっていき、ヨーロッパ、中近東、中国そして日本で「判子」が広く使われてきました。

■円筒印章
紀元前三千年頃、中近東のメソポタミア地方に住むシュメール人が人類初めての文字を発明し、円筒型の材料に文字や絵を彫刻して、粘土の上を転がし模様をつけて、それを財宝などの封印紐として使用しました。
材料は、白色石灰石、蛇紋石、ガラス、大理石、貝、瑪瑙、水晶など多数あります。
(レプリカ)

■スカラベ印章
エジプトではBC2400〜2300年頃スカラベ印章が出現、既にパピルス(紙)が使われていて文章の確認や袋や小さな容器の封印用に用いられていました。
スカラベ印章は、直径1〜3cmの石にスカラベの像を彫刻したもので、材料は殆どが滑石に青か緑の上薬を塗ったものです。スカラベとはコガネムシのことです。スカラベ印章は首にぶら下げて持ち歩きましたが、針金で指に巻きつける指輪型印章に発展しました。

■身分や権威を表す
中国では殷の時代には方形の銅印「殷璽」(いんじ)が身分や地位を表す権力の象徴として使われてきました。
周の時代には璽印を授け官史の任免の証拠としました。秦の始皇帝は印章制度を確立、皇帝と皇后が璽印を使いました。漢時代には各地の諸王の印章も璽と呼び、皇帝は「皇帝之璽」の璽を持ち、諸王には「広陵王璽」を与え、城外諸国の王や首長にも「金印」を贈りました。
随、唐時代以後は文章の捺印のほか割印(騎縫印)に用いています。割印を最初に使ったのは唐の太宗で、法帳の継ぎ目に捺印しました。後に文人画が流行し書画に捺すようになり、形、印材が豊富になりました。

■日本最古の印章
わが国に伝わる最古の印鑑は「漢委奴国王」の五文字が3行に分けて刻まれた、福岡市志賀島で天明4年(1784年)に農夫によって掘り起こされた金印です。
金印は一辺が2.3cm、高さ2.2cmのほぼ正方形、重さ108g。国宝に指定されています。
中国の史書である「後漢書」には、漢の光武帝が建武中元2年に倭の奴国王に授けたとされています。
(レプリカ)
■日本書記にでてきた木印
日本の文献に印章が初めて登場したのは「日本書記」でした。9月丙午の条に「木印(きのおして)一個を上(たて)まつる」と、神祇官が天皇に木製の印を奉ったという記事があり、木印は祭祀用の神具だったのでしょう。
興味深いのは天徳4年に内裏に火災が起こり灰の中から木印が発見されたことです。「日本紀略」にある渤海国からの使者が持ってきた物と思われます。
大宝元年、大宝律令が制定され、唐の制度に習い、官印については天皇の内印、太政官の外印、中央諸官庁の諸司印など4種類が決められました。印材は鋳銅印で、文字は陽印の篆書体が用いられました。

■庶民のはんこ
文武天皇の時代には判子は政府や地方支配の公印として使用されていましたが、平安時代ぐらいより個人の判子を捺印する習慣が定着していきました。
江戸時代には、宗門改めと人別改めを一緒にした戸籍台帳「宗門人別改帳」が作られました。これは家族の詳細を記載して、寺の住職が檀家がキリシタンでは無いという証明をする為に印を捺印したものです。
年貢を納める名寄帳には農夫の捺印と名主、組頭、年寄が印を捺して代官に提出、手代が署名しました。
また現代の「手形」は、手のひらに朱肉を付けて紙の上に捺した印が始まりで、典型的なものが「江戸為替手形」です。
そして明治6年10月1日に「太政官布告」で「証書には必ず実印の捺印が必要」と定まったことにより、判子が大々的に普及していきました。現在では10月1日を「印章の日」と定めています。

■現代の判子の役割


日本では、書類などの確認済みのサインや、本人確認に印鑑が用いられ、欧米ではサインが主体となっています。どちらにも一長一短があります。現在、日本でも印鑑無しでサインでOKというところが増えてきていますが、公的な書類などは記名と捺印となっています。

○「印鑑登録って必要?」
印鑑登録とは、住民登録のある各市町村に印影を提出し、登録する制度のことを印鑑登録といいます。
これは原則として15歳未満は登録できず、印鑑の所有者本人が申請しなくてはなりません。その登録した印鑑を実印といい、賃借、不動産、車などの契約時に法的にあなたの意思を証明するものになります。ですから捺す書類の内容には、十分注意して簡単には捺さないでください。

○「どんな印鑑でも登録できる?」
登録できる印鑑は戸籍上の氏名だけに限られます。ですから姓名、姓、名のいづれかが完全に表示されていればいいのです。また、姓に名の一部をつけたもの(例:山田 太郎→山田 太)、姓名の頭文字を合わせたもの(例:山田 太郎→山 太)、名をひらがなやカタカナに変えたもの(例:山田 太郎→山田 たろう)でもOKです。(一部では姓名をすべて彫刻しないといけない自治体もあります)
登録出来ない印鑑は、芸名、通称、社名などが入っているもの、8mm角以上で25mm角以内の大きさの物。浸透印やゴム印などは不可、三文判も変形しやすいので実印には適しません。

○「偽造防止の為の契印と割印」

契約書などの大切な書類が複数枚になる場合、複数枚が一つの書類であることを証明するために契印を捺します。製本されている場合は、裏表紙の製本帯にかかるように捺し、ホッチキス留めの場合は、見開きの左右のページにかかるよう、すべてのページに署名者全員が署名印と同じものを捺します。この契印がなければ、書類が追加されたり、差し替えられたりした可能性があります。
割印は、書類の正本と副本や、原本と写し、領収証と控えなど2つ以上の書類の同一性、関連性を示すために2つの書類にまたがって捺します。この判子は署名印と同じ物でなくてもよいです。

○「捨印には気をつけて」
契約書を作成している際、書類の欄外に「ここにも判子を捺してください。」と言われたことはありませんか?これが捨印と呼ばれる物です。
捨印とは法的に定められた事前に捺される訂正印のことです。もともとの趣旨としては、たとえ微細な訂正や誤字脱字であっても、訂正個所に訂正印を押さなければ文書の有効性が損なわれる。しかし、訂正の度に文書を送って訂正印を捺してもらうのは、日数や時間もかかり効率も悪く、迅速な処理の妨げとなるために、微細な誤記、あるいは明らかな誤字脱字程度であれば、相手に断ることなく訂正して良いと承認を与えるというものでした。しかし訂正の範囲や限度が指定されていないため、書類の金額の訂正や重要な内容の変更などを事前に承認したと扱われる場合がありますので十分注意して捺印してください。

■個人印の種類


○実印
実印とは登録印とも呼ばれ、あらかじめ市区町村に登録してある印、印鑑登録証明書の交付を受けられる印を言います。
印鑑登録する際に必要なものは、登録する判子、身分証明書(運転免許証、保険証、パスポートなど)、印鑑登録手数料です。登録は住民登録がある市区町村の役場でできます。
実印は8mm角以上、24mm角以下の戸籍上の氏名が入っている物。外枠が欠けたり、文字の読み取れないものは登録できません。
姓だけで実印を作成されますと、家族みんな同じ姓ですので、間違えたりしてトラブルが起こることがありますので、フルネームで彫刻するのがベターだと思います。
実印が必要な時は、公正証書の作成、不動産取引、車の売買、遺産相続、保険金の受取、官公庁のでの手続きなどで、印鑑登録証明書の添付が必要です。(前記のことでも、必要のない場合もあります)

                            

○銀行印
その名の通り銀行に届出をしている判子のことです。
主に金融機関で使う判子ですので、大切に保管して紛失しないよう気をつけなければいけません。通帳と銀行印さえあれば、本人以外でも金銭を引き出せます。
登録は三文判などでも出来ますが、永年使用しますので、経年変化の少ない印材で彫刻されることをお薦めします。
銀行印が必要な時は、口座開設、預貯金の引き出し、小切手・手形の作成・受け取りなどです。

                            

○認印
認印は日常の中で最も頻繁に使う判子です。履歴書、回覧板、荷物の受け取りや会社では書類の確認などでも捺印されます。
認印は実印などと違いぞんざいに扱われがちですが、捺した人の意思を表明することに変わりないので軽く扱ってはいけません。悪用される危険性も十分にはらんでいるのです。

                            

○訂正印
記帳ミスや修正を明らかにする為に訂正箇所に捺すものです。
「訂正の権限があるものが訂正しました」ということを明確にするための判子でもあります。
訂正印の使い方は、訂正箇所に2本線をひいて(元の文字が読める程度に)訂正箇所か、そのすぐそばに捺すようにします。

              

■法人印の種類


○代表者印(役職印)
代表者印とは、本社所在地の法務省に登録している印鑑のことで、会社の実印と言えるでしょう。サイズは16.5mm丸〜18mm丸ぐらいが一般的です。(10mm角以上、30mm角以下のものが登録できます)
下図のように外枠ぞいに社名が入り、内側に「代表取締役印」と彫刻するのが一般的です。(法人組織によって内側の彫刻内容が変わります)
(例:◇株式会社・有限会社・相互会社=代表取締役印 ◇合名会社・合資会社・LLC・LLP=代表者印 ◇特定非営利活動法人・一般社団法人・財団法人・学校法人・医療法人・農業協同組合・消費生活協同組合・労働組合など=理事之印・代表理事之印 ◇宗教法人=代表役員 などがあります。
代表者ではありませんが、同じ形態で作る物に役職印もあります。この場合は 総務部長の場合=総務部長之印 会長の場合=会長之印 と彫刻します。)
代表者印には個人の名前は基本的には入れません。個人の名前を入れると代表者が変わる度に判子を作り直し、法務局に登録変更をしなければなりません。
代表者印は他社との契約の際、代表者が会社を代表して契約書に捺印する際に使われます。契約書は代表者印を捺すことが義務付けられているわけではありませんが、代表者によって作成されたことを証明するために捺印されるのが慣例となっています。

                     

○社印(角印)
社印とは、2〜3cmの角型の判子です。会社名のみや会社名+印や之印が入っている物があり、文字数のバランスを考えて配字します。四角いところから角印とも呼ばれています。
大きくて立派なので会社を代表する判子と思われがちですが、これは認印の一つに過ぎません。
請求書や領収書など、社外に対して発行する文章や社内稟議書などに社名に重ねて捺されます。

                     

○法人銀行印
銀行と当座取引するに当たっては、銀行に印鑑を届け出ないといけません。手形、小切手の振り出しには必ずこの届出印が必要です。この判子があれば手形、小切手が振り出せるので、その点では代表者印より重要な判子とも言えます。
彫刻としては、代表者印と同様に、外枠ぞいに社名を入れて内側に「銀行之印」とするのが一般的です。
代表者印と併用することも可能ですが、紛失などのことを考えると別で作成されることをお薦めいたします。

              

○会社印の管理方法
印章重視の日本社会では、それに見合った取扱が必要です。代表者印や銀行印はもちろん、社印や役職印も保管には十分注意をしてください。できれば会社内部で印章の取扱規定を決めておくべきでしょう。
(取扱規定例:◇印章の保管場所、保管管理者を定める ◇印章の捺印者を定める。(代表者印は社長、銀行印は総務部長など) ◇印鑑簿を作成し、判子ごとに、使用した日時や使用目的、書類作成者などを記載する。)

○紛失、盗難があった時の処置
実印や代表者印の紛失、盗難があった場合は、ただちに市区町村役場や登記所にその旨を届出、無くした印章の印鑑証明書を受けられないようにします。
さらに改印届けを出し、無くした判子の実印としての効力を失わせます。銀行印の場合もすぐに銀行に事故届けを出し、改印届けを提出しましょう。これらの届出と共に警察署に紛失届け、盗難届けを出し、紛失届出証明書、盗難届出書をもらっておくと良いでしょう。関係取引先にも、改印した旨を伝えるようにしましょう。


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